【その6】デブってだけで、こんなに大変【妊娠初期】
寝たきりが続いていたが、なんとか日中の10時~15時ぐらいまでは
起きていられるようになったので、すぐ行動した。
相変わらず、気持ち悪い、何も食べられない、飲めないけれど、
母子手帳を入手して、知人に紹介された個人病院へ行くことにした。
車で30~40分かかるが、不妊治療もしているし、高齢でも分け隔てなく診てくれる。
丁寧でやさしい先生だと聞いて、藁にもすがる思いで行った。
赤ちゃんのために、環境を整えなきゃ!という焦りがあった。
その病院は予約制ではない&人気なので、長時間の待ち時間を覚悟していったが
はじめての来院日、異常に空いていた。奇跡だと思った。
サクサクっと診察に。
先生は、カラッとして明るい、白髪の上品な色気のある紳士だった。
驚いたことに、いままで苦痛だった膣内エコーが無痛だった。
赤ちゃんも順調に大きくなってた。
看護師さんも優しかった。
先生に、いままで不安だったことを聞くと、サラッと返答がきた。
デブな私でも診てもらえるのか聞くと、大丈夫と。
リスクの事も話したら、いまのとこ何の問題もないから大丈夫だよ、と。
「確かに、しっかりついてるもんねー。増やさないようにね!」
それでも、不安を煽るような感じではなく、
机の上に飾られたバラと蓋尽きのお洒落なティーカップのように、
不思議と上品な言葉に聞こえた。
予約した総合病院への紹介状や共通診断ノートもサクサク作ってくれた。
高齢だし、ずっと不安だった出生前診断のことも話すと教えてくれた。
金額の目安も教えてくれて、私の年齢だと受ける人が少ないこと。
でも紹介状も書けるから、パートナーさんと相談してきてよ。と。
とにかく、はじめて普通の妊婦として扱われたと感じた瞬間だったと思う。
診察が終わると、先生は「じゃ、またねー」と明るく言った。
なんて安心感のある紳士先生なんだろう。
いままでの不安が消えていくのがわかった。車の中で泣いた。
【その7】へ続く>>>